2026/06/20 23:50
こんにちは、青柳商店です。
2026年6月19日、経済産業省と財務省は、
中国および台湾産のニッケル系ステンレス冷延鋼板・冷延鋼帯に対する
ダンピング調査の中間報告書を公表しました。
同時に調査期間を4か月延長し、最終判断を2026年11月21日まで延期することも発表されています。
今回は、この調査内容と今後のステンレス市場への影響について、できるだけわかりやすく解説します。
ダンピングとは?
ダンピングとは、
海外メーカーが自国で販売する価格よりも安い価格で輸出し、輸入先の産業に損害を与える行為
を指します。
日本では、ダンピングによって国内産業が損害を受けていると認定された場合、
アンチダンピング関税(不当廉売関税)=AD
が課されることがあります。
海外メーカーが自国では高く売って、
海外(今回は日本)では極端な安値で販売し、市場価格に大きな影響を与えるので
自国の産業/雇用などを守るために輸入時にわざと税金かけて安値が入らないようにします。
今回の調査対象
調査対象となっているのは、
中国・台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼板・冷延鋼帯
です。
代表的な鋼種では、
・SUS304
・SUS301
・SUS316
などが含まれます。
一方で、青柳商店でも取り扱っている
もう一つの代表鋼種SUS430はニッケルをほとんど含まないため、
今回の調査対象には含まれていません。
公表されたダンピング率
経済産業省の中間報告では、以下のダンピング率が確認されました。

※青柳商店独自にまとめたものになります。
中国メーカーでは33~45%台という高いダンピング率が確認されました。
一方で台湾メーカーは4%前後の企業が多いものの、一部企業では20%を超える結果となっています。
関税がかかっても買える水準としては5%くらいまでとみていますので、一部台湾メーカーに再度人気が出てきますね。
暫定関税は発動されるの?
現時点では、暫定的なアンチダンピング関税は発表されていません。
今回の発表と同時に調査期間が4か月延長されており、政府は追加の証拠や意見の検討を進めるとしています。
現段階ではあくまで中間報告であり、最終決定ではありません。
個人的には、調査期間を延長しながら同時に暫定関税を発動する可能性は高くないと見ています。もちろん制度上は可能ですが、今回の延長理由を見る限り、まずは最終判断まで慎重に検討を進めるのではないでしょうか。
ステンレス価格への影響は?
もし最終的にアンチダンピング関税が発動された場合、
中国材の価格上昇
輸入量の減少
国内材との価格差縮小
などが起こる可能性があります。
特にSUS304などのニッケル系ステンレスは、市場価格や流通量に影響が出る可能性があります。
一方で、SUS430は今回の調査対象外であるため、直接的な影響は比較的小さいと考えられます。
<業界関係者向けメモ>
コア業界関係者しかわからないようなネタをここから書いていきます。
輸入材輸入者・使用者の立場を考えると
①韓国材とインドネシア材は関税がかかる可能性がしばらくはなさそう。
②台湾のいくつかのメーカーはダンピング率が低いので関税を吸収出来れば進めることは可能。(調査内容には輸入材は国内材と約40-60%の価格差)
③中国産台湾産の430は話には上がっていない。
④ベトナム産やインド産も言及なし。
⑤供給面で日本メーカーのみでは足りない可能性があるので一部数量限定で輸入を許可するか!?=クォーター制度適用?
青柳商店の勝手な予想~今後付き合うなら~
本命=韓国産
対抗=インドネシア産/台湾産(ダンピング率が少ないところのみ)
大穴=インド産/ベトナム産/中国産430
とりあえず調査期間が11月まで延長されたので、輸入材の購入を検討している方は今のうちに手配しておくのも一つの選択肢かもしれません。
長々と書きましたが、あまり長くなると飽きられるのでこの辺で。
中国産ステンレスや台湾産ステンレスのダンピング調査は、
SUS304を扱う商社・加工業者・需要家にとって今後の仕入価格や調達先に影響する可能性があります。
青柳商店でも引き続き中間報告や最終判断を追いかけ、
ステンレス業界の動向を発信していきます。
他に知りたい情報があればお問い合わせください。
