2026/07/08 10:00

こんにちは、青柳商店です。

青柳商店ではこれまで、中国・台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼板・冷延鋼帯(主にSUS304)に対するアンチダンピング(AD)調査について継続的に解説してきました。

まずは、2026年6月19日に公表された中間報告についてまとめ、

https://mbase.theshop.jp/blog/2026/06/20/235004

続いて、2026年6月23日に公表された暫定アンチダンピング(AD)関税率について解説しました。

https://mbase.theshop.jp/blog/2026/06/23/232626

そして2026年7月3日、財務省は中国・台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼板・冷延鋼帯(主にSUS304)に対する暫定アンチダンピング(AD)関税の課税を正式決定しました。

今回は、その正式決定の内容と、今後のステンレス市場への影響について分かりやすく解説します。


これまでの経緯

日本政府は2025年7月22日、中国・台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼板・冷延鋼帯に対するアンチダンピング(AD)調査を開始しました。

対象となるのは主に、

・SUS304

・SUS301

・SUS316

などのニッケル系ステンレス冷延鋼板です。

約1年間にわたり、

・ダンピング(不当廉売)が行われていたか

・国内産業に実質的な損害が発生しているか

・アンチダンピング(AD)関税を課す必要があるか

について調査が進められてきました。

6月19日に公表された中間報告では、中国メーカーで33~45%台という高いダンピング率が確認され、台湾メーカーでも企業によって大きな差があることが明らかになりました。

さらに6月23日には、政府が国内産業を保護するため、暫定アンチダンピング(AD)関税を発動する必要があるとの判断を示し、各メーカーの暫定関税率が公表されました。


前回の予想どおりの展開に

前回の記事では、

「調査開始から1年となる7月22日を待たず、7月上旬にも暫定アンチダンピング(AD)関税が発動される可能性がある」

と考察しました。

その理由として、直近の中国産黒鉛電極に対するアンチダンピング調査では、調査期間が延長されたにもかかわらず、最終決定が前倒しで行われた事例を紹介しました。

そして今回、その予想どおり2026年7月9日から暫定アンチダンピング(AD)関税が適用されることが正式決定しました。


なぜ調査途中で発動されたのか

財務省が公表した資料では、

「調査期間中に本邦産業へ更なる損害が生ずることを防止する必要がある」

として、暫定措置を講じる必要があると判断しています。

つまり、調査自体は11月まで継続されますが、それまで何も対策を講じなければ国内産業への損害がさらに拡大するおそれがあるため、最終決定を待たずに暫定措置が発動されることとなりました。

財務省の資料はこちら

https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/plan/futou/ka20260703-2.html


暫定アンチダンピング(AD)関税率

正式決定された暫定アンチダンピング(AD)関税率は、6月23日に公表された内容から変更はありませんでした。

中国メーカーでは27.7%・42.1%、台湾メーカーでは3.6%・20.1%となっています。

今回も、サンプリング調査対象企業には比較的低い税率、それ以外の供給者には高い税率が適用される形となりました。

税率が維持されたことで、中国材と台湾材では今後の価格競争力に大きな差が生まれることになりそうです。


暫定関税はいつからいつまで?

今回の政令は2026年7月8日に公布され、

2026年7月9日から11月8日まで暫定アンチダンピング(AD)関税が適用されます。

一方、アンチダンピング調査そのものは2026年11月21日まで延長されています。

つまり、

「暫定関税の適用期間」と「調査期間」は異なる

という点は押さえておきたいポイントです。

今後も調査は継続され、最終的な関税率や対象企業などが決定される予定です。

ただし、暫定関税の適用期間は11月8日までとなっているため、それまでに最終判断が行われるのか、それとも新たな措置が講じられるのかが今後の注目点となります。

また、直近の中国産黒鉛電極に対するアンチダンピング調査では、調査期間が延長されたにもかかわらず、最終決定は当初の期限より前倒しで行われました。

今回のステンレス調査でも同様の運用となれば、11月21日を待たず、10月下旬から11月上旬頃に最終決定が行われる可能性もあると考えています。


ステンレス市場への影響

今回の措置により、中国産・台湾産ステンレスを扱う商社や流通ルートでは、価格や調達方法に大きな影響が出る可能性があります。

特に中国メーカーには27.7~42.1%という高い税率が適用されるため、日本国内での販売価格の上昇は避けられず、従来の価格競争力は大きく低下すると考えられます。

一方、台湾では3.6%という比較的低い税率のメーカーもあり、今後は台湾材への調達シフトが進む可能性もあります。

また、今回の措置では韓国産やインドネシア産は対象となっていません。

中国産・台湾産SUS304輸入材を扱う企業だけでなく、国内材を扱う商社や加工業者、需要家、さらにはSUS304を使用する製造業や設備メーカーにとっても、調達コストや価格転嫁の面で影響が広がる可能性があります。

もちろん、ステンレス価格はアンチダンピング(AD)関税だけで決まるわけではありません。

ニッケル価格、為替相場、国内需要、各メーカーの生産状況など、さまざまな要因を総合的に見ていく必要があります。


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現在は輸入材SUS430を中心に取り扱っていますが、今後は輸入材SUS304の販売も予定しています。


青柳商店の視点

今回の正式決定により、これまで予想されていたアンチダンピング(AD)関税は実際に発動されることとなりました。

一方で、これはあくまで暫定措置です。

今後は調査結果を踏まえ、最終的なアンチダンピング(AD)関税率や対象企業が決定されます。

中国産・台湾産SUS304輸入材を取り扱う商社や加工業者、需要家にとっては、今後の発表が仕入れや価格戦略を考えるうえで重要な情報となりそうです。

青柳商店では、中間報告、暫定関税率、そして今回の正式決定まで、一連の流れを継続して追ってきました。

最終アンチダンピング(AD)関税率や対象企業が確定しましたら、できるだけ早く分かりやすく解説していきます。

今後も財務省・経済産業省・官報などの最新情報を確認し、ステンレス市場の動向やアンチダンピング(AD)調査について、業界目線で発信していきます。

ステンレス業界の最新情報を知りたい方は、今後の更新もぜひご覧ください。


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